法人の税務調査の一般的な流れ

初めて税務調査を受ける場合、やっぱり緊張しますよね。事前に流れを知っておくと少しは、気持ちが楽になると思いますのでご説明します。

  1. 事前通知
    通常は、税務署から税理士事務所に調査日程の調整依頼がきます。税務署から候補日が指定されますが、会社側や税理士の都合も聞いてもらえます。一般的に会社での実地調査の期間は2日~3日間程度で、直近3期~5期分が対象期間となります。
  2. 調査当日
    10時頃から1~2時間程度、社長や財務経理担当の職員が会社の概要、商品・売掛債権や金銭の管理の方法などを説明することになります。雑談をしているように感じますが調査官はそこから必要な情報をちゃんと聞き取りしています。
    一般的には、役員構成と担当部署、株主構成、取引先、従業員、集金方法、金庫があるかどうか、通帳管理、メインバンク、社長の経歴や趣味、記帳の方法や税理士の関与形態などを聞かれます。
    その後、売上、売上原価、役員報酬、給与、交際費、支払手数料と損益計算書の上から順に原資証憑(請求書、領収書、行程表、売掛台帳、注文書、請書、タイムカード、議事録、稟議書などの裏付資料)を確認していきます。貸借対照表については、主に在庫の確認、貸付金や仮払金で不明なものはないか、前受金・仮受金・預り金で収入計上すべきものはないかなどが確認されます。
  3. 反面調査
    売上の計上や仕入、外注費、支払手数料、修繕費、交際費などの経費計上などについて信ぴょう性に疑問がある場合、相手先に確認に行く場合があります。
  4. 実地調査後
    実地調査後、調査内容の吟味、銀行の預金口座の動き、関連情報、税法への当てはめ検討
    を行い、調査の結果内容について会社側、税理士に説明がなされます。納得できる内容であれば修正申告書を自ら税務署に提出します。修正申告に応じない場合には、税務署が職権により更正決定することになります。
    実務的には、更正決定をされる前に粘り強く、会社側の考え方を説明主張を行い、歩み寄りをすることが重要だと思います。
  5. 国税不服審判所
    更正決定をされ、納得できない場合には、国税不服審判所に審査請求を行い、国税不服審判所で意見を戦わせることになります。なお、自ら修正申告書を提出し、後から「やっぱり不服だ!」と気持ちが変っても国税不服審判所への審査請求は出来ません。
  6. 裁判
    国税不服審判所でも主張が通らず、どうしても納得がいかない場合には、訴訟を提起することになります。

ほとんどの税務調査においては、税理士も主張できることは主張しますし、税務署も審理担当も含め検討しますので明らかに修正に応じなければならない事項が残ります。これについて修正申告を行うのが一般的です。当然ながら修正事項がなく「申告是認」となることも多くあります。調査開始から終結まで通常2か月~3か月程度を要します。

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