税務上の繰越欠損金の消化は、税務調査のタイミング。
2016.08.17
税務上の繰越欠損金は、平成21年4月1日以後開始事業年度発生分から9年間、平成30年4月1日以後開始事業年度発生分から10年間繰り越されます。よって、業況悪化、貸倒損失の計上、固定資産等の売却損などの計上により多額な欠損金が計上された場合には、その後の利益と相殺できるわけです。その間、法人税や法人事業税、法人住民税(以下、法人税等といいます)を支払う必要がなく、消費税のみの納税となります。
順調に利益を計上し続け、欠損金の消化が完了すると当然ながら利益に対する法人税等が計算され、納税しなければならなくなります。今まで納税をしていなかった訳ですから、多くの経営者が何とかこの法人税等の課税から逃れる方法がないかと考える訳です。合法的な節税プランの実行等は、特に問題になりませんが、税法上認められない費用や損失を計上してまで法人税等を圧縮しようとの意向が働きます。
当然ながら税務署も税務上の繰越欠損金を消化した法人は、何らかのアクションを起こすだろうと推察している訳ですから税務調査が入る可能性は非常に高くなります。
(注)事業年度終了の時の資本金の額が1億円超の法人や大法人(資本金の額が5億円以上の法人)に完全支配されている法人は、欠損金全額の控除が出来ませんので法人税等が一定額発生します。
控除可能額 平成28年4月1日以後開始事業年度 60%
平成29年4月1日以後開始事業年度 55%
平成30年4月1日以後開始事業年度 50%