税務の基準は、曖昧なものが多い。なので税理士は、即答出来ません。

税務の基準には、「おおむね」「不相当に高額」「公正妥当」「同程度の同業他社と比較して」「社会通念上」「時価」「合理的」など金額や割合を明確にしていないものが非常に多くあります。これを税理士業界では「不確定概念」と言っています。税理士に対する苦情で「税理士が金額をはっきり言わない」というのを聞きますが、税法や通達の表現自体が曖昧なのですからしょうがないと思います。
例えば、次のような質問をされても即答は出来ません。

  1. 退職金いくらまでだったら認められる?←会社の規模、同業者データ、裁判例を検討。
  2. 非常勤役員の報酬は、いくらまで認められる?←同上
  3. 社員旅行で海外に行くけど一人あたりいくらまでだったら認められる?←相場、判例を検討。
  4. 社長所有の土地を極力高く買いたいけどいくらだったら大丈夫?←路線価、公示価額、不動産業者、不動産鑑定士の意見などを検討。

生活に例えると車両の道路の通行速度の上限は、「30K」「50K」「80K」と定められ、標識で確認できます。しかし、これが「安全な速度」とだけ標識に書いてあったらどうしますか。人それぞれ判断が異なりますね。税法や税法通達は意外とこのような定めが多いのです。この場合、同じ道路でも住宅地なのか高速道路なのか、道幅はどうか、道路の整備状況はどうかなど総合判断して決めるのでしょう。ちなみに国道58号線なら「安全な速度」は何キロでしょうか。那覇市久茂地と嘉手納でも「安全な速度」の判断は変わるでしょうし、時間帯でも変わるでしょうね。

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